気象衛星の軌道は、同じ地域を続けて見るか、地球上の異なる地域を順に観測するかを左右します。赤道上の静止衛星は同じ地域を繰り返し観測し、極軌道衛星は地球の自転に伴って異なる帯状の地域を通過します。どちらか一方がすべての観測に優れているわけではありません。

赤道上空にとどまる静止気象衛星と高緯度を横切る極軌道衛星、それぞれの観測範囲を示す概念図

軌道が観測範囲を決める

衛星は地球を周回しながら雲、水蒸気、地表などを観測します。軌道の高さ、傾き、公転周期によって、衛星が地上のどこにとどまって見えるか、ある時点でどの範囲を観測できるかが変わります。NOAAの気象教育資料は、静止軌道と極軌道を代表的な方式として比較しています。両者の違いは、観測位置が時間とともにどう変わるかにあります。

静止軌道は同じ地域を続けて見る

NASAによると、赤道の真上を回る円形の地球同期軌道は、地上から同じ位置に見える静止軌道になります。NOAAも、静止衛星が地球の自転と同じ周期で回り、赤道上の一地点にとどまって見えると説明しています。そのため特定地域の雲や嵐の変化を高い頻度で追うのに適しています。一機で地球全体を覆うわけではなく、高緯度地域は視野の端に位置したり、地球の曲率によって観測が制限されたりします。

極軌道は地表の帯を順に走査する

NASAは、多くの地球観測衛星が南北の極を通るほぼ極軌道を利用し、地球が下で回転するため次の周回では隣接地域を観測すると説明しています。NOAAも、極軌道衛星が両極の上を通り、一度に地球全体を見ることはできないとしています。地球により近い軌道は細かな画像を得やすく、極域を観測しやすい一方、同じ地点を連続して見続けることはできません。

観測目的に合わせて使い分ける

急速に変化する嵐を頻繁に追うには、同じ地域を繰り返し見る静止衛星が役立ちます。地球規模の広い調査や高緯度の観測には、異なる帯を通過する極軌道衛星が補完になります。極軌道画像は同じ場所の連続動画ではないため、通過の間に起きた変化は一枚の画像では確認できない場合があります。静止衛星も視野が限られるため、一機だけで地球全体を監視することはできません。

専門家の視点:複数の軌道を使う理由

NASAは、静止軌道の固定された視野が短時間で変化する気象の観測に適し、ほぼ極軌道の地球観測衛星は地球の自転に伴って観測帯を移すと説明しています。NOAAは極軌道がより近い位置から細かな画像を提供し、極域の観測に向くと述べています。運用では再訪頻度、地理的範囲、画像の細かさ、緯度ごとの視野をあわせて考えます。衛星画像は特定の場所と時刻の観測であり、地球上すべての気象を同時に示すものではありません。

衛星画像の時刻を読む

画像の時刻と衛星の種類を確かめると、同じ地域の連続画像と異なる地域を通る観測画像の違いが分かります。静止軌道画像は同じ地域の変化を比べるのに、極軌道画像は緯度・経度の異なる観測帯を比べるのに適しています。観測の間隔や視野外の地域も考慮が必要で、一枚の画像だけですべての地表変化を判断することはできません。

NOAAによると、静止衛星は同じ視点を保つため雲の動きを比較でき、画像を最短で毎分記録することもできます。頻繁な更新は観測地域で嵐が発達する順序を追うのに役立ちますが、雲の動きだけですべての地上状況が分かるわけではありません。

NOAAが示す毎分撮影は高頻度観測の一例であり、すべての衛星・地域・配信画像が常にその間隔になるという意味ではありません。静止衛星の画像を比べる際は、撮影時刻と視野の両方を確認し、画像間の時間を雲の変化が起きた正確な時刻と混同しないようにします。一方、極軌道衛星は一回の通過で帯状の範囲を記録するため、同じ地点を写す二枚の間には時間の空白が生じます。時間変化を追うなら再訪間隔を、広域を比べるなら各帯の位置と通過時刻も確かめます。

出典