水分活性は水分含量とは異なる

水分活性(aw)は、同じ温度における食品の平衡水蒸気圧を純水の水蒸気圧で割った比率です。水分含量が似ていても、塩、糖、タンパク質などの組成や水との相互作用によってawは異なります。FDAの技術案内は測定や収着挙動を説明し、米国の特定の低酸性缶詰・酸性化食品規則の適用判定にaw 0.85を挙げています。これは「0.85以下なら病原体がすべて消える」という意味ではありません。低awは多くの細菌の増殖を抑えても死滅を意味せず、酵母・カビや食品ごとの条件も考慮します。FDA技術案内

溶質によって増殖への影響は異なる

Sunらの2026年研究は、塩化ナトリウム、ショ糖、グリセロールで調整した実験系における *Salmonella Enteritidis* の増殖を調べました。最小増殖awは、塩化ナトリウム条件で0.95〜0.96、ショ糖で0.96〜0.97、グリセロールで0.92〜0.93と溶質別に異なると報告されました。転写解析とNMRで水の状態や菌の応答も調べています。これらは試験菌株、培地、温度、設計における結果で、すべてのサルモネラや実食品に共通する増殖限界ではありません。研究要旨と条件

増殖できなくても病原体は生き残りうる

低水分食品で大切なのは、増殖と生残を区別することです。低awで増殖が止まっても、サルモネラが長期間生き残る場合があります。再加水、配合、調理で条件が変われば危害となる可能性があります。そのためaw測定だけで原料が無汚染だ、あるいは加熱工程が有効だったとは判断できません。汚染原料の管理、検証済み殺菌工程、再汚染防止、保管条件を組み合わせます。引用研究は、溶質が違えば同じawでも微生物反応が同じとは限らないことも示します。

専門家の視点:測定値を工程管理に結び付ける

水分活性は温度と平衡状態に左右されるため、測定温度、機器校正、試料調製、ロット内のばらつきを管理します。平均値だけでなく安全上重要な製品部位を測り、実際の配合に対する検証資料で工程限界を支えます。awはpH、保存料、加熱、包装、保管と組み合わせる管理要素で、単独の殺菌法ではありません。乾燥食品も水分が少ないから病原体が存在しないと推定せず、原料と工程の危害分析・監視を続けます。

出典・参考資料

FDA: Water Activity (aw) in Foods · Mechanistic Insights into Salmonella Growth Kinetics Under Solute-Induced Water Activity Stresses via Transcriptomics and NMR Analysis