金星の自転・公転方向とレーダー観測を示す概念イラスト

「逆行」とは何を基準にした言葉?

惑星の自転方向は通常、公転方向と比較して説明します。金星は公転と反対向きに回るため逆行自転です。NASA NSSDCAのファクトシートは恒星自転周期を−5832.6時間と記載します。表の規約では負号が逆行を示し、回転していないことや測定誤差を意味しません。

「一日」は定義によって異なります。恒星自転周期は遠方の恒星を基準に一回転する時間、太陽日は太陽が同じ場所で同じ見かけ位置へ戻る時間です。惑星は自転しながら公転もするので、太陽日は恒星自転周期と一致しません。NASA表の金星の昼夜の長さと自転値が異なるのは、この基準の違いを確認すると理解できます。

専門家の視点:レーダーで自転をどう測るか

Margotらの論文は、地上レーダーで金星表面からの反射を複数年追跡しました。2006~2020年の観測から、平均自転周期を243.0226 ± 0.0013地球日と推定しています。これはその観測期間の平均で、常に変わらない絶対値ではありません。異なる期間を平均した過去の推定値と少し違う場合は、観測期間を比べる必要があります。

論文は約61ppm、時間に換算して約20分規模の変動を報告します。これは観測間の変動であり、日ごとに一定量が累積する変化ではありません。レーダー観測の間隔、標本の疎らさ、解析上の不確実性も解釈に関わります。

大気と固体惑星の運動量交換

金星大気は地表より速く循環する超回転を示します。研究者は自転測定と大気運動の関係を調べ、大気と固体惑星の間で角運動量が移る可能性を論じています。観測変動はその交換と整合するという解釈ですが、すべての細かな変化の原因が一つに確定したという主張ではありません。

したがって「大気のトルクが変動に寄与しうる」と述べ、観測と解釈を分けます。レーダーが測るのは反射信号から推定する自転状態であり、大気・内部の結合はその結果と合わせて検討する物理的説明です。すべての周期や内部相互作用が単純な図で確定したかのように示すのは適切ではありません。

太陽日が約116.75地球日になる理由

NASA表の恒星自転周期−5832.6時間は、絶対値を換算すると243.025地球日です。公転周期は約224.7日で、同じ表の「length of day」は2802時間、つまり116.75地球日です。NASAはこの項目を赤道上の地点で正午から次の正午まで戻る平均時間と定義しており、日の出から日の入りまでの長さではありません。 表の定義

平均角速度を一定とする説明用の計算では、逆行自転のため、地表に対する太陽の運動には自転と公転の回転率が加算されます。1/太陽日 ≈ 1/243.025 + 1/224.701で、その逆数は約116.752日です。表の116.75日と丸めの範囲で一致します。これは基準値による単純な平均関係であり、日ごとのレーダー変動や特定緯度の日の出時刻を計算したものではありません。

太陽が見えると仮定すれば、金星では西から昇り東へ沈みます。NASAもこの方向を説明しています。誤解は西から昇ること自体ではなく、地球のように24時間ごとに繰り返す出来事と考えることです。逆行自転は、公転軌道を逆向きに進む意味でもありません。 NASAの方向説明

出典・参考資料:

注:NTRSの取得日2022-02-23は学術誌の掲載日ではありません。