潮位計は沿岸の陸地に対する水面を、衛星は広い海の海面高度を測る。記録が答える問いは異なるため、差があることだけでは矛盾とはいえない。 NOAAの概要

陸地を基準にする潮位計と海面までの距離を測る衛星を比べた概念図

概念図であり、実際の縮尺を示していない。

高さの基準も測定に含まれる

高さには出発点となる基準面が必要だ。NOAAは平均海面と平均満潮・干潮位を区別する。これらは陸上の水準点につながる地域の基準である。ある観測所のゼロからの高さを、別の基準からの高さとそのまま比べることはできない。数値と基準面は一緒に読む必要がある。 NOAAの基準面

長い記録では基準の連続性も重要になる。PSMSLは観測所の基準面の履歴を使って月・年平均を調整し、共通の地域基準につながるRLRデータを作る。時系列分析には通常この記録を勧める。説明のないゼロの変更が、水位の変化に見える恐れがあるからだ。 PSMSLの基準

水位センサーも観測系の一部だ。NOAAの音響式の例は、水面から反射した信号の戻る時間を測り、古い装置は浮きを使っていた。風や気圧の観測も水位と一緒に記録できる。その日の異常な読み取り値がどのような条件で生じたかを考える手掛かりになる。 NOAAの計測

軌道からの距離を海の平均にする

衛星高度計はレーダー信号の往復時間から海面までの距離を求める。別に決定した軌道の高さから補正後の距離を引くと、地球中心を基準とする海面高度になる。NASAの検証地点では、測量した位置と現地の潮位計を組み合わせて衛星の測定を確認する。 NASAの技術

信号は真空だけを通らない。水蒸気や電荷を持つ粒子は信号を遅らせるため、補正が必要だ。重力と海流も海の表面を形づくる。衛星の海面地図は、物理的に凹凸のある表面の地図であり、すべての海に共通する平らな一本の水位線ではない。 NASAの海面地形

全球指標には平均する工程が加わる。NASAの対象データは格子の海面偏差を面積で重み付けして平均する。記録は1993年からで、範囲は南北緯66度の間と明記される。平滑化と氷河性地殻均衡調整の除外も説明されている。グラフの比較には処理条件も関わる。 NASAのデータ

陸地が動くと沿岸の読みも変わる

潮位計だけでは水の上昇と陸地の沈下を分けられない。説明用に、水が2センチ上がり、水準点が1センチ下がる場合を仮定しよう。相対水位は3センチ上がるが、水自体の変化は2センチだ。これは基準の関係を示す仮の数値で、観測された速度や予測ではない。 PSMSLの陸地信号

陸地の変化には複数の仕組みがある。堆積物の圧密は沿岸を下げ得るし、地殻運動は陸地を上げたり下げたりする。氷の荷重が減った後の隆起もある。NASAはこれらを陸地の上下動の要因として説明する。記録の差だけから一つの原因を特定することはできない。 NASAの陸地運動

別の観測を加えると両者を分けやすくなる。NASAは陸地の動きを測るGNSS観測所と、頻繁な沿岸測定や一世紀を超す記録を持つ潮位計を説明している。利点は軌道からの観測と異なる。組み合わせても、古い沿岸記録と新しい衛星記録の観測期間が同じになるわけではない。 NASAの観測手段

一度の高い水位は長期傾向ではない

風は水を岸へ押し寄せたり、沖へ移したりする。気圧も水位を変える。湾や狭い入口の形、河川流量も地域の潮汐を変える。NOAAの説明から分かるのは、とくに異常な天候の下での一度の高水位を、長期の海面変化と同一視できないことだ。何をどの期間測ったかが必要になる。 NOAAの気象影響

線の高さより表示の意味を読む

まずグラフが高度、変化量、偏差のどれを示すか確認する。NASAの2019年の比較図は、1993~2018年平均に対する偏差と全球平均海面を区別する。偏差のゼロは記載された基準期間を意味する。次に場所、期間、平均方法を比べる。線の高さだけで記録の意味を判断しない。 NASAのグラフ例

出典