エントロピーと第二法則:微視状態と局所変化
エントロピーは単なる乱雑さの点数ではありません。孤立系全体の傾向と、冷蔵庫内部など局所領域の減少を分けて考えます。
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巨視状態・微視状態とエントロピー
同じ温度・圧力の気体にも粒子の位置や運動量の配置は多数あります。一つの詳細配置が微視状態です。温度・圧力などの巨視条件で区別される状態が巨視状態で、その条件に合う多数の微視的配置が対応します。単純なBoltzmann式はS=kB ln Ωで、Ωは適合する微視状態数です。Boltzmannの1877年論文英訳は分布の確率を配置数に結び付けます。MITの講義ノートも両状態と関係式を説明します。
簡単な数え上げ例
区別できる粒子10個が左右の箱に独立・同確率で入るとします。割り当ては2¹⁰=1,024通りです。5個ずつの巨視状態は左側の5個を選ぶ252通りに対応し、全て左・全て右は各1通りです。この模型は均等状態に多くの微視状態が対応することを示します。「乱雑さ」へ押す力の説明ではありません。粒子10個の確率を現実の気体にそのまま当てはめられません。
局所減少と第二法則
冷蔵庫の内部を冷やすと、その領域のエントロピーは減り得ます。しかし電気を使い、部屋へ熱を放出するため内部だけは孤立系ではありません。内容物・機器・部屋を含む境界を選び全体の変化を見ます。MITの第二法則ノートは膨張や熱平衡を例に系の境界を扱います。
粒子数Nを固定した理想気体が、断熱・剛体容器の体積Vに閉じ込められているとします。仕切りを外すと気体は自由膨張して2Vに広がります。熱の出入りも仕事もなく、初期と最終の平衡温度は同じです。各粒子の位置の選択肢が2倍になるため、微視状態数の比は2^N、エントロピー変化はΔS=NkB ln 2です。自由膨張は不可逆ですが、状態量の差は同じ平衡端点を結ぶ可逆経路で計算できます。
この単純式は、指定した巨視条件のもとでアクセス可能な微視状態を等しい重みで数える場合に対応します。状態ごとの確率が異なるなら、個数Ωだけでは足りず、確率分布を含む統計的定義が必要です。
条件と限界
孤立系全体では自発過程で総エントロピーが減らない、というのが要点です。統計説明は系の選択、エネルギーなどの制約、状態の数え方に依存します。大きな系では平衡状態が 圧倒的に多いものの、微視的運動が常に一方向という意味ではありません。小さな系では揺らぎます。
出典
- Boltzmann, 1877年論文(Sharp・Matschinsky英訳・解説、2015) — 配置数と確率の議論
- MIT OpenCourseWare, “Entropy and a Move Towards Chaos,” 第4章 — 巨視・微視状態とS=kB ln Ω
- MIT, “Concept and Statements of the Second Law” — 膨張・平衡と系の境界