野外の水を安全に飲むには?

透明な沢水でも、見た目だけで安全とは判断できません。まず微生物汚染と化学物質汚染を分けて考え、微生物には煮沸、または対象病原体に合ったろ過と消毒を選びます。CDCは煮沸を最も確実な方法、次の選択肢をろ過後の消毒としています。CDCの水処理案内

出発前に器具の表示を確認

  • 1. フィルターが除去すると表示する対象と、絶対孔径(absolute pore size)を確認します。CDCによると、絶対孔径1 μm以下、またはNSF 53/58の嚢胞低減認証は原虫を対象としますが、ウイルスやすべての細菌を除去する意味ではありません。0.3 μm以下の絶対孔径は細菌と原虫を除去しても、ウイルスは通過する可能性があります。「マイクロフィルター」という名称だけで性能を判断しないでください。
  • 2. 錠剤や液体の消毒剤は、有効成分、水量、水温・濁りに応じた接触時間を製品表示どおりに守ります。CDCは塩素やヨウ素が細菌・ウイルスには使えても、原虫、とくにクリプトスポリジウムには十分でない場合があると説明します。二酸化塩素は塩素・ヨウ素と区別して確認します。CDC Yellow Bookはクリプトスポリジウムへの効果を示す一方、製品・水質に関するデータの限界と長い接触時間も説明しているため、製品の対象と待ち時間を確認します。冷水や濁水だからと時間を推測せず、表示に従って前処理するか別の方法を選びます。
  • 3. 妊娠中、甲状腺の問題がある人、ヨウ素過敏症の人はヨウ素処理水を避けるようCDCは案内しています。また、ヨウ素処理水を数週間以上飲み続けないよう注意しています。

現地での選び方

  • 1. 上流に人や家畜、排水、鉱山・工業活動がないか確認します。見た目や臭いから感染リスクは分かりません。化学物質、毒素、放射性物質が疑われる水は、煮沸や消毒をしても安全にならないため、ボトル水か別の水源を使います。
  • 2. 微生物が問題で燃料があれば、澄んだ水を完全に沸騰させます。CDCは標高6,500フィート(約1,981 m)以下では1分、それを超える場所では3分の煮沸を案内しています。火傷を避けて冷まし、清潔でふたのできる容器に入れます。
  • 3. 煮沸できない場合は、対象病原体について試験されたフィルターを選びます。ウイルスが残る可能性があれば、ろ過後に表示どおりの消毒を加えます。CDC Yellow Bookは一般的なマイクロフィルターのウイルス除去の限界と、実用濃度の塩素・ヨウ素ではクリプトスポリジウムを十分に不活化しにくいことを説明しています。該当する病原体への性能が確認できない場合や汚染状況が不明な場合は、煮沸か別水源を優先します。
  • 4. 泥水は布やコーヒーフィルターで大きな粒子を除くほか、沈殿や凝集で濁りを減らせます。ただし透明になっても消毒済みではありません。その後に煮沸、対象に合うフィルター、または正確な量の消毒剤を使います。
  • 5. 処理した水を手、未処理容器、使用済みフィルター出口に触れさせないよう保管します。フィルターの破損・目詰まり、錠剤の期限も確認してください。

例:上流に人の利用がある透明な沢

手元のフィルターに「0.1 μm」とだけあり、ウイルス除去の表示がないとします。この数値だけで全微生物を除去できるとは考えません。燃料があれば煮沸を選びます。燃料がなければ、フィルターの認証対象となる原虫・細菌を確認し、ウイルスに有効な消毒剤を表示どおりの用量と接触時間で追加します。上流に汚水や化学汚染の兆候があれば、この手順を続けず別の水源を探します。これは器具選びの仮例であり、特定の沢の安全判定ではありません。

限界

処理性能は機種、手入れ、水温・濁り、正しい使い方で変わります。CDCの孔径値は絶対孔径の基準です。メーカーの試験表示や認証も確認してください。煮沸や微生物消毒では化学汚染を除けません。激しい嘔吐・下痢や脱水の兆候が出たら、野外処理を繰り返すだけで済ませず、現地の医療・救助支援を求めてください。

参考資料