収蔵品を減らす判断に独立した手続きが必要な理由

収蔵品の除籍、その後の処分方法、収益の使途を分け、恒久記録に残す博物館の手順図

博物館のコレクションは、収蔵庫に置かれた物の集まりだけではありません。研究、教育、展示、地域社会との関係、館の使命に沿って管理する資産です。保管場所の不足や保存費用の増加は見直しのきっかけになっても、特定の資料をなぜ収蔵から除くのか、その権利や関係者を説明する根拠にはなりません。まず承認済みの収集方針に照らし、売却の可能性を検討する前に、除外の必要性と証拠を確認します。

国際博物館会議(ICOM)の倫理委員会が作成し、2019年に執行理事会が承認した「収蔵除外ガイドライン」は、deaccessioningを資料を博物館コレクションから合法的に除くことと定義します。修復が現実的でない損傷、安全上の危険、適切な保管ができないこと、価値を加えない重複、収集方針との不一致などを検討理由として挙げています。一方、資料の市場価格を除外の動機にしてはならないとしています。これは専門職向けの指針であり、各国の法律や契約上の制約に代わるものではありません。

所有権と来歴を確認する

検討前に、真正性、所有権、寄贈時の条件、判明している来歴を調べます。以前の所有者、取引、展示、輸出入の記録も確認対象です。取得時の文書や後から提出された返還請求も見直します。ICOMは、来歴資料が欠ける場合には合理的な範囲で調査を尽くすよう示しています。記録が見つからないことを、権利に問題がない証明として扱わず、不確実性として残す必要があります。所有権が未解決の場合や不正な移転、返還請求の疑いがある場合は、通常の整理手続きから切り離し、適用法と返還に関する専門的な助言を得ます。

資料の文化的な意味や、公的信頼が損なわれる可能性も把握します。学芸員、保存担当者、理事会に加え、契約上の制約がある場合の寄贈者や、その資料に特別な意味を持つ人々の意見も参考になります。意見を聞いても全員の合意が得られるとは限りません。誰が参加し、どの資料を確認し、どの意見が異なり、何が未確認かを記録します。公開説明では判断の根拠を示しつつ、非公開の個人情報や開示に適さない知識を守ります。

収蔵除外と次の行き先を分けて決める

ICOMの実務上の要点は、まず収蔵から除くかを判断し、その後に処分方法と収益の扱いを別に決めることです。購入者や売却収入を先に想定すると、コレクション上の判断が経済的な見込みに引きずられるおそれがあります。方針には、提案者と承認者、必要な証拠、利益相反の申告方法を定められます。除外が決まった後に、資料ごとの法的状態や条件を踏まえ、他館への移管、寄贈、交換、返還、売却などを比較します。

ICOMの指針は、可能な場合、除外した資料をまず他の博物館や公的な収集機関に提示する強い原則を示しています。ただし、偽物や来歴に疑いがある資料などは例外としており、一律の移管義務ではありません。選んだ経路が資料の権利、寄贈条件、意義、収集目的にどう適合するかを説明します。また、担当する職員、理事会構成員、その家族や近しい関係者が当該資料を購入できないよう求めています。通常の議事録だけでは見えにくい利益相反を防ぐための基準です。

専門家の見解:議決後も公共への責任は続く

米国博物館協会(AAM)の「博物館倫理綱領」は、コレクションを館の使命と公的信頼を支える資源として位置づけています。適法な管理と記録を求め、売却・交換・研究を通じた処分は館の使命を進めるものでなければならないとしています。非生物資料の売却収入についても、コレクションの取得または直接的な管理に用途を限っています。これは米国の博物館分野における専門倫理基準で、すべての国や館に共通する法律ではありません。所在地の法令、設立文書、助成条件、寄贈契約を別途確認してください。

実務記録には、根拠となる方針、決定者、利益相反の申告、来歴調査、法的確認、検討した代替案、関係者の意見、判断理由、処分経路、収益の使用計画をまとめられます。除外の承認日と、所有権を実際に移した日付は分けて記録します。ICOMは、資料が移った後も記録を恒久的に保存し、可能な範囲で手続きを透明にするよう勧めています。記録を整えても争いのある判断が自動的に正当化されるわけではありませんが、何を知り、何を考慮し、何が未確定だったかを後から検証できます。

出典・参照文書