1. 縁や取っ手を持って持ち上げない

籠は丈夫に見えても、植物繊維が経年、使用、光、湿度変化で弱くなっている場合があります。カナダ保存研究所(CCI)は、縁や取っ手を持って持ち上げず、底を両手で支えるよう勧めています。以前は重さを支えた部分でも、繊維がもろくなれば小さな力で切れることがあります。移動前に、つぶれた箇所、ほつれ、割れ、取り付けられた装飾を観察します。必要に応じて緩衝材を敷いたトレーや台車で運び、移動中も底面の支持を保ちます。指を編み目に入れて形を直したり、縁を引いて強度を試したりしません。大きい資料や不安定な資料は、場当たり的に持たず、複数人で方法を決めます。

透明な展示ケースの前でパッド付きトレーに載る籠の概念イラスト。扉やパネルの状態は判別できません。

2. ほこりは見た目だけでなく素材にも影響する

CCIによると、ほこりは研磨性を持つことがあり、その成分によっては湿気と反応して化学的劣化を早めたり、虫やカビの栄養になったりします。収蔵中は扉付き収納や開架棚のカバー、展示中はケースを使うことで堆積を抑えられます。ほこりは表面の細部を隠し、長く残るほど除去しにくくなります。一方、カバーや容器が籠を押したり、繊維に引っ掛かったり、湿気を閉じ込めたりしてはなりません。物体にほこりが付く前に保管環境とケースを点検します。直接ブラシをかけたり吸引したりすることを常に安全な方法とみなさず、繊維の状態や付着物を確認してから処置を選びます。

3. 光の影響は蓄積し、元に戻せない

籠に使われた染料の中には光に特に弱いものがあります。CCIは光による損傷が累積し、不可逆だと説明しています。見られていない時間は暗所で保管し、収蔵室の照明を消せるときは消し、展示照明も必要な範囲に抑えます。CCIは染色された籠について50 lux、紫外線75 µW/lm未満という推奨を紹介しますが、これは同ノートの材料別指針であり、すべての施設に適用される法的上限や退色防止の保証ではありません。照度だけでなく照射時間も管理します。展示期間、点灯時間、測定値を記録し、資料のローテーションを計画すると累積露光を抑え、後の変化を確認しやすくなります。展示しない期間の遮光も、公開と保存を両立させる管理の一部です。

4. 湿度の数値は自動設定でなくリスクとして読む

CCIは相対湿度65%を超えるとカビが生じやすくなり、40%未満では乾燥と脆化が進む可能性があるとしています。硬い素材に強く固定された籠では、湿度変化による植物繊維の伸縮が損傷につながることもあります。数値を一度超えたからといって、すべての籠を移動させたり加湿したりすればよいわけではありません。構造、現在の状態、環境の安定性を見て、測定場所と日時も記録します。ひび、変形、新たなカビ、外れた繊維などを観察します。カビや異常な環境を見つけたら、資料に薬剤を吹き付けたり急に乾かしたりせず、施設の手順に従って保存修復専門家に相談します。 CCIは高温による脆化を避けるため25°C未満を推奨し、直射日光や強いスポットライトで展示ケース内がさらに高温になる場合があると注意しています。

5. 専門家の視点:清掃と処置の限界

CCIは、汚れに見える付着物が以前の使用を示す証拠である場合があると注意しています。種子や果実のしみは使用の歴史の一部かもしれず、単に取り除くべきものではありません。清掃は不可逆なため、必要なものだけを除去する判断が重要です。見た目だけでは付着物が有害な汚れかどうかを決められません。清掃前後の写真、作業理由、使用した用具を記録すると、後任者が同じ箇所に再び触れることを避けやすくなります。ケースのガラスを拭く際も、籠を安定した場所に移し、布や道具を資料に接触させないようにします。ブラシ、吸引、水分を使う前に、素材と繊維の強度を確認します。判断できないものは写真と状態を記録し、繊維がもろい場合や装飾が緩んでいる場合は作業を止めます。米国保存修復学会(AIC)は、保存修復専門家が美術史、科学、スタジオアートなどの幅広い訓練を受けると説明しています。個別の処置は適切な専門家に相談し、CCIの一般案内だけで特定資料の診断や処置を決めません。

出典および参考資料: