重要書類のバックアップは、複数の場所にコピーするだけでは十分ではありません。発行元や提出先がどの形式を原本として受け付けるかを確認し、アカウントや端末を使えないときにも読めるコピーを復元できる必要があります。

書類ごとに原本の要件を確認する

身分証、契約書、保険・税務、医療の書類では提出ルールが異なることがあります。スキャンや電子文書を受け付けるのか、紙の原本、認証、電子署名が必要なのかを発行元または提出先に確認してください。一般的なスキャン設定やファイル形式だけで法的な原本性は決まりません。保存期間は書類ごとの規則と自分の状況に応じて決め、古いファイルを一律に削除しないでください。CFPBの災害への備えはデジタルと携帯ドライブのコピーを別々に保管する例を示し、米国国立公文書記録管理局の個人文書デジタル化案内はデジタルファイルが失われる可能性があるため原本を保管するよう説明しています。提出要件は各機関に確認してください。

異なるリスクにさらされる場所へ保存する

ファイルを整理し、暗号化やアクセス制御のあるクラウドなどに保存し、別のリムーバブル記録媒体にもコピーする方法があります。バックアップ後にその媒体を取り外して別の場所に保管すれば、ランサムウェアが接続中のコピーまで暗号化するリスクを抑える助けになります。Backblazeのランサムウェア復旧テスト案内も、復旧手順を実際に試す必要性を説明しています。クラウド同期は誤削除や破損した変更も同期することがあるため、独立したバックアップと同じだと考えないでください。

機密書類では、サービスの暗号化、復旧手順、共有権限、アカウント復旧方法を確認します。認証アプリが生成するワンタイムコードを入力する方式は、フィッシング耐性があるとは限りません。NISTのデジタル認証ガイドラインは手入力するOTPをフィッシング耐性があるとはみなさず、WebAuthn/FIDOが認証先サイトに認証を結び付ける仕組みを説明しています。フィッシング耐性のあるMFAが必要なら、サービスが対応するパスキーまたはFIDO/WebAuthnセキュリティキーを確認してください。認証手段を失った場合に備え、復旧コードを安全な別の場所に保管します。

実際に復元して確かめる

たとえば、インターネットやクラウドへのサインインを必要としないオフラインコピーから書類を一つ別の端末へコピーし、開いてみます。ページや内容が読めるか、復号キーやパスワードを使えるか、ファイル名と日付から書類を特定できるかを確認します。復元にアカウントへのログインや同期が必要なのに、アカウントがロックされた場合を試していなければ、独立して復元できるとは確認できていません。結果と次回の確認日を記録し、普段使う端末とは別の場所にもコピーを置きます。

PDFや画像が将来も開けるかは、ソフトウェアと保存媒体にも左右されます。定期的に別の媒体へコピーし、実際に開いて確認してください。保存期間や提出要件は、発行元や適切な専門家に個別に確認しましょう。

出典:CFPB — Get prepared before a disaster or emergency strikes · NARA — Digitizing Family Papers and Photographs · Backblaze — Testing Your Ransomware Readiness · NIST SP 800-63B