1. 光の経路と見える位置

手前の質量が背景光源の光路を変えると、光源と観測像の位置が異なります。Treuの銀河レンズ総説は、薄いレンズ近似でβ = θ − αを説明します。βはレンズがない場合の光源の角位置、θは像の角位置です。

αは距離比を含む換算偏向角で、レンズ付近で光線が実際に曲がる角度とは区別します。総説ではα = (Dls/Ds)α̂です。DlsとDsはレンズ–光源および観測者–光源の角径距離です。

2. リングと弧の違い

光源が中心に整列し質量分布が円対称である理想条件でアインシュタインリングができます。θEは角半径で、角直径ではありません。実際の銀河は非円形の質量分布を持ち、光源にも大きさがあるため、弧や複数像に見える場合があります。完全な円がないことはレンズ作用がない意味ではありません。

3. 単純モデルで読む比率例

総説の特異等温球モデルではθE = 4π(σ/c)²(Dls/Ds)です。σはモデルの速度分散、cは光速で、同じ速度単位を使います。距離比は無次元、θEはラジアンです。特定の質量分布モデルの関係で、全銀河に共通する質量公式ではありません。

仮に距離比が同じでσが2倍ならθEは4倍です。像でリングが4倍に見えるだけで、実在銀河の質量が4倍とは結論できません。距離と採用した質量分布を一緒に確認します。

4. 画像に何を加えるか

RuffらのSL2S論文は初期型銀河11個でレンズモデルと恒星の力学解析を組み合わせました。赤方偏移や恒星速度分散も推定に使いました。リングを見ることと恒星・暗黒物質の成分を分けることの間に、追加資料と仮定が入ります。

異なる質量モデルが画像を再現し得ます。総説の質量シート縮退や視線方向の質量は、像の位置が合うだけでは唯一の質量解にならない理由です。画像、距離情報、恒星運動、モデル仮定を分けて読みます。

5. 出典

Treu(2010), Strong Lensing by Galaxies:幾何とモデル。Ruffら、arXiv:1008.3167:レンズと恒星力学の結合研究。