CDSの信用保護と取引相手リスク:契約・決済・清算の確認点
CDSのプレミアムと条件付き決済を例で計算し、信用事由の契約条件、取引相手リスク、中央清算後に残る流動性リスクを確認します。
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1. CDSが移転するリスク
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、参照企業やその債務に結び付いた信用リスクを契約で移転する店頭デリバティブです。プロテクションの買い手は合意したプレミアムを払い、売り手は契約で定めた信用事由と決済条件が満たされた場合に支払います。預金保険でも元本全額の保証でもありません。参照債券を保有せずに契約上のエクスポージャーを持つこともあるため、想定元本を保有債券額や予想損失と同一視できません。
2. 仮定例:プレミアムと決済額
単一企業を参照するCDSの想定元本を1,000万ドル、年率プレミアムを1.50%と仮定します。単純な年換算額は1,000万ドル × 0.015 = 15万ドルです。実際の支払日・金額は、契約上のクーポン、経過プレミアム、日数計算などで変わります。
別の仮定例として、契約上対象となる信用事由が認定され、現金決済に使う最終価格が40%だったとします。単純化した保護支払額は1,000万ドル × (1 − 0.40) = 600万ドルです。これは計算例であり、回収率の予測や支払いの保証ではありません。信用事由の定義、参照債務と優先順位、通知・決済条件、最終価格、契約文言が結果を左右します。現金決済、適用される場合のオークション、または現物決済のどれかは取引文書と適用プロトコルで確認します。すべてのCDSにオークションが自動適用されるわけではありません。
3. 信用事由の判断は取引文書に従う
ISDAの2014年定義集はクレジット・デリバティブ文書の基本的な枠組みを示しますが、個々の取引では確認書に取り込まれた定義と変更条項が重要です。ISDAの決定委員会(Determinations Committee)は、その手続きの対象となる取引・事由について市場共通の判断を示すことがあります。すべてのCDS支払いに必須の単一裁判機関とみなすべきではありません。取引確認書と関連文書で次を確認します。
| 確認項目 | 文書で確認する質問 |
|---|---|
| 参照主体・債務 | どの法人と債務が対象か。優先順位は一致しているか。 |
| 信用事由 | Bankruptcy、Failure to Pay、Restructuringなど、どの事由が選択され、閾値や猶予期間は何か。 |
| 通知・手続き | 通知期限と証拠要件は何か。決定委員会の手続きが適用されるか。 |
| 決済 | 現金、適用時のオークション、現物のどれか。引渡可能な債務は何か。 |
| 資金の流れ | プレミアム、経過分、担保・証拠金、支払日はどう定まるか。 |
4. 取引相手リスクと中央清算のトレードオフ
中央清算されない相対取引では、相手方の履行能力に加え、担保・証拠金とクローズアウト・ネッティングの範囲を確認します。現在のエクスポージャーや将来の潜在的エクスポージャーが重要で、想定元本だけでは損失を測れません。
中央清算では中央清算機関(CCP)が清算参加者の間に入り、証拠金やデフォルト資源でエクスポージャーを管理します。二者間の相手方リスクを変え、減らし得ますが、リスクをなくすわけではありません。CCPと清算会員への集中や、相場急変時の追加証拠金による資金繰り負担が残ります。米国ではCFTCが登録デリバティブ清算機関(DCO)での清算を義務付けるCDSのクラスを定めていますが、全CDS・全法域に同じ義務があるという意味ではありません。
取引前には、誰が保護を約束するかだけでなく、証拠金請求に応じる資金があるか、利用できる清算経路は何か、相手方・清算会員・CCPが破綻したときポジションをどう移管または終了するかを確認します。
出典・参考資料: