ポンプの一周期

ナトリウム・カリウムポンプ(Na⁺/K⁺-ATPase)はATPの加水分解エネルギーで、イオンを濃度勾配に逆らって運びます。一周期でNa⁺を3個外へ出し、K⁺を2個内へ取り込みます。そのため正電荷が一つ分、正味で外向きに移動する電気発生性輸送です。Holmgrenらは急速な電圧変化を使い、Na⁺放出に対応する三段階の電荷移動を観察しました。Natureの原著は輸送周期を扱ったもので、静止膜電位全体をポンプだけが決めるとは述べていません。

イオン勾配と電圧の関係

膜電位は膜の両側にあるイオン濃度と、各イオンに対する膜の透過性で決まります。多くのニューロンでは静止時にK⁺への透過性が高く、その勾配の影響が大きくなります。より小さいNa⁺透過性も寄与します。ポンプは漏れ経路を通って移動するイオンを戻し、勾配を保ちます。また3対2の輸送比により、ポンプ自身も内側をわずかに負にする電流を生みます。セント・アンドルーズ大学の神経科学解説では、この直接寄与は通常数mV程度で、一般に直ちに電位を決める主因ではないと説明しています。Goldman方程式の解説を参照してください。

思考例:ポンプを止めたら

K⁺をNa⁺より通しやすい膜を持つ仮想的なニューロンを考えます。電圧は主にK⁺の拡散勾配に傾き、Na⁺の透過性がそれを少し変えます。動作中のポンプ電流はさらに小さく負方向へ加わります。ポンプを短時間阻害しても、すでにできた勾配はすぐには消えません。しかし時間がたつと漏れたNa⁺とK⁺を戻せず、勾配や細胞機能が変化します。これは仕組みを示す思考例で、特定細胞で測定された電圧ではありません。

解釈を変える条件

電位は細胞の種類、イオンチャネルの発現と開閉、細胞外イオン濃度、活動履歴、測定時点で変わります。細胞活動が高まるほど、イオン勾配を保つためにポンプはより多く働く必要があります。「ポンプが電位を作る」とだけ言うと、長期的な勾配維持と直接の電流を混同します。より正確には、ポンプが勾配を維持し、その勾配と選択的な膜透過性が電位を大きく左右し、ポンプの直接効果が条件に応じて加わります。

出典